INTERVIEW インタビュー

I .Sさん

2020年入社|佐鳴台店 サブチーフ(成形部門・サンド部門)

 

浜松調理菓子専門学校卒業。食べることが好きで、中でも一番好きなパンを極めるためにパン職人を志すように。入社前から浜松泉店を利用しており、商品の美味しさはもちろんスタッフの明るさが好きだったと話す。入社後は成形・販売・ミキサー・サンド部門を経験。現在はサンドのサブチーフとして活躍中。

あえて手間と時間をじっくりかける。
私が学びたいパンづくりがここにある。

入社の決め手は何でしたか?

元々ショパンにはよく買いに来ていて、当時からここで働けたら楽しそうだなあと想像していました。就職活動をするにあたり色々と調べたときに、オールスクラッチで製造していることを知ったんです。そこでグッと惹かれましたね。

オールスクラッチ製法と、仕入れた生地でパンを作るのと、どう違うのでしょう?

1番は、粉の状態から完成形までを見届けられること。パン作りに関わるすべての工程を厨房で行なっています。美味しいパンを焼き上げるには、どの工程でも自分の頭を使って考えて動くことが求められていると思います。

たとえば、生地は少し置いておくだけでどんどん発酵が進んでしまいます。ちょっと遅れただけでも、出来上がりの食感や味わいも変わってしまうのです。発酵スピードは気温や湿度にも左右されるので、毎日同じ時間発酵させれば良いというものでもなく、その日ごとにベストなタイミングを見計らって発酵室から引き上げなければなりません。

もちろん最初は難しいですよね。

はい。でも私にとっては、そうやって手間暇かけてパンを作ることがすごく楽しいんです。だんだんとパンの顔色を見極められるようになっていきますし。成功した時の達成感は何度焼いても最高です!

(現在、佐鳴台店のみ浜松泉店で製造した生地を利用しています。)

学校でもパンの作り方を学んで来られましたよね。ショパンに入社したからこそ身につくことってなんでしょう。

学校とショパンで学ぶことの違いは、「形にすること」「美味しく作ること」だと思います。専門学校ではまずレシピ通りに形にすることがゴールでした。でもここで一人前になるには、「ショパンのレベルを満たす美味しいパンを作る技術」を身につけなければなりません。

それは一筋縄ではいかない、と。

そうですね。求められる味やビジュアルに達するまでに、たくさんの試行錯誤が必要なんです。

特に難しかったコレ!という一品はありますか?

たとえば「まぼろしのつのパン」。ショパンのラインナップの中でも特に難易度が高いと言われているパンで、だいぶ苦労しました……。

この商品は、平たく伸ばした生地を何重にも巻き付けて作ります。カリッと焼き上げた表面に、中はフワフワの生地ですが、何層にも重なっているので食べ応えはしっかりめ。味わいがシンプルなぶん、美味しさを際立たせるカギとなるのが食感です。この食感を生み出すことが大変で……練習したつのパンを上司にチェックしてもらうのですがなかなか合格が出なくて。

たくさん練習したんですね。

はい。ショパンでは勤務時間は決まっていますが、作業が終われば早く帰ることができます。でも私は少しでも早く美味しいつのパンが焼けるようになりたくて、早く終わった日も厨房に残って何度も何度も練習しました。

成功のポイントは何でしたか?

先輩に相談もして、作り方を真似たりもしたのですが何故かうまく行かなくて。ある日先輩たちが成形する手元をじっと見ていたんです。そうしたら手粉の使い方や生地を伸ばす時の厚さが人によって違うことに気がつきました。使う量は同じでも、タイミングやスピードが違うんです。つのパンの場合は「自分にとって生地が一番扱いやすい方法を見つけること」がカギだったんです! 

 

それからは自分の感覚にしっくり来る方法を見つけることに専念しました。そうして半年後にやっと合格点をもらうことができました。

この道のり、長かった~!

「パンづくりの技術」と「現場をスムーズに動かす力」。
どちらも身につく場所が、ショパンの厨房です。

想像していたより大変だったことはありますか?

厨房内での動き方に慣れることです。というのも、ショパンでは「常に80種類以上のラインナップ」「できたてを提供するために少量で何度も焼く」ことを大切にしています。焼く数も回数も多いので、自分の頭で全体の流れを把握しておく必要があります。

たとえば成形部署の場合。気温や湿度の条件を大量の商品にどう反映していくか。このパンを何時何分に焼き上げるためには何時までに発酵を終わらせて、それぞれどの順番で発酵室に入れるか……全部を逆算して、分刻みでその日の動きを考えておきます。急に何かの商品がたくさん売れるというイレギュラーにも対応できるようにもしておきます。

1日があっという間に終わりそうですね。

その通りで、毎日気づいたら「もう退勤!?」って感じです(笑)。でも、おかげでパン職人としての力が身に付くスピードも早い気がします。

難しい商品も必然的に何度も特訓することで「パンづくりの技術」が、何種類ものパンを何度も焼くので「自分の持ち場をどうスムーズに回すか」という現場力が磨かれるということですね!

慣れたら楽しくなりますよ。それに、忙しくても雰囲気は和やかです。何かあればすぐ質問できますし、勤務開始前にはお笑いの流行りネタを披露しあったりして気分を上げています(笑)。作っている私たちが楽しく働いていないと、お客様にも伝わってしまいますから。

みんなで作りあげるショパンの味。
お客様に伝わった時の嬉しさは忘れられない。

美味しさを追求するときはみんな真剣です! 秋のフェアに向けてブリオッシュモンブランを試作していた時はまわりのスタッフからたくさんの意見をもらいました。お子さんがいるスタッフから「子ども目線だとお酒の風味はもう少し控えが良いかも」ですとか。自分1人の味覚では気がつけない新しい発見があります。

素敵ですねえ。みんなでアレコレ言い合いながら美味しいパンを作り上げる、その光景が目に浮かびます。

私もこの時間がとっても好きです。はっきり意見を言ってくれるスタッフばかりで開発もはかどります。

他にはどんな点にこだわりましたか?

私は広報委員会でインスタグラムへの投稿を担当しています。そこで実感したのは、家で撮影して投稿してくださる方が多いということ。店頭で目を惹くビジュアルであることはもちろん、綺麗なまま持ち帰れることって大事だなと気づいて。それでクリームがよれずに綺麗に持ち帰れる容器を探しました。

あとは上に絞るマロンクリームを立体的に見せるため、中に詰めるクリームの量を何度も微調整したり、栗一粒を加えるか加えないかもすごく悩みました。

ビジュアルと価格と味、製造にかかる時間…クリアすべき条件があるからこそ燃えるんですよね、きっと。お客様の反応はどうでしたか?

実はこの時、友達がお店に買いに来てくれたんです!ドキドキしましたけど、美味しかったって言ってもらえました。安心したのと嬉しさとで胸がギュッとなりました(笑)。

それは嬉しいですね!  

はい! また商品開発にも挑戦してみたいなと思います。試作した商品が惜しくも商品化できないことももちろんあります。それでも、上司からは「思いついたらどんどん作ってね」と言われているんですよ。

一年目から開発に携われるのも、ショパンが「まず挑戦してみること」を大切にしているからだと思います。どんなパンを作ろうかたくさん考えて、実践して、失敗もして。その経験を積まないと美味しいパンって生まれないと思うので。

なるほど。

自由に開発できて、何度も特訓できて、仲間も積極的にアドバイスをくれる。この環境はパン職人としてとっても幸せだなあと思います。

まだまだ、ショパンで挑戦したいと思うことが
たくさんあります。

最後に、ショパンに向いているのはどんな人か、教えてください。

「なんでも前のめりに取り組める人」にとってすごく刺激的な職場だと思います。ミキサーの部署は特に重労働で男性に任されることが多いのですが、興味があって手を上げてみたんです。運動部に所属していて体力には自信があった私でも、結構大変でした。25kgの粉袋を担いで往復しないといけないので。でも、2ヶ月ほどで慣れました。それにミキサーを経験したおかげで、他の体力仕事にもひるまなくなりました(笑)。

前のめりな人は委員会活動も楽しめると思いますよ。私がSNSにアップした動画を見てお客様が来店してくださったりすると、自分の行動が集客につながることを実感できます。それと最近は園芸委員会でも活動していて、お花でお店を明るく見せることにこだわっています!

委員会を掛け持ちしているんですか?

はい! 花屋さんで仕入れたお花を使って、店舗を飾り付けています。今の時期、どんなお花があると華やぐかな?って考えるのが楽しくて。

Iさんご自身、好奇心旺盛というか、チャレンジャーですよね。

委員会活動のようなパン作りに直結しない業務でも、そこから学べることってたくさんあるんです。お店全体について、どうしたらもっとお客様に喜んでいただけるかということを、いろんな角度から考えられるようになりました。興味があったり、声をかけてもらえたことにはまず飛び込んでみたら、きっと見える世界もどんどん広がっていくんじゃないかなと思います!

Iさんのこれからが楽しみですね。今日はたくさんお話しいただきありがとうございました!

早番の日のスケジュール

3:00  起床
3:30  出発
4:00  勤務開始・下準備(具材調理など)
5:00  サンド作り込み
8:00  休憩
9:00  サンド作り込み
12:00 翌日の仕込み
13:00 事務仕事(発注作業・SNSへ動画投稿など)
14:30 退勤
16:00 買い物・帰宅
21:00 就寝

 

4時出勤の日は定時は14:30まで。そこから30分~1時間くらい残業する日もあります。仕事帰りはゆっくり買い物して、帰宅後はドラマを見てリラックスするのが定番コース。自分の時間もしっかり確保して、早めに就寝します。

オフの過ごし方

写真は佐鳴台店のスタッフみんなで仕事終わりにご飯を食べに行った時のもの。スタッフとは休日の日に会うこともあります。店舗が変わっても可愛がってくれる先輩がいて、ランチしながらお喋りしてリフレッシュします。

プチ遠出をすることもあります。週休の2日間と有給を繋げて3連休を作り、東京旅行に行きました。